今回はForza Horizon 5(FH5)にてAWD(4輪駆動)車のクロスカントリーAクラス向けのセッティング行う方法について具体例を挙げて説明したいと思います。
AWD車のクロスカントリーAクラス向けアップグレードについてはこちらの記事をご確認ください。
セッティング対象車及びコースの紹介
セッティング対象車は前回の記事でアップグレードを行った2015 LAND ROVER RANGE ROVER SPORT SVRになります。

コースはトロピコ・クロスカントリー向けにセッティングを行います。
トロピコ・クロスカントリーは急な下り坂、120km/h前後の中速コーナーから170km/hオーバーの高速コーナー、非常に高低差のあるジャンピングスポット、アクセル全開区間で川を渡る場面もあるコースになります。
アクセル全開区間でいかに失速せずに速度を乗せていけるかとジャンピングスポットで失速させないかがポイントとなります。

トロピコ・クロスカントリーはAクラスで初めて走るコースの為、目標タイムは特に設定せず、可能な限りタイムを詰めていきます。
初回実走セッティング時に確認すべきこと
初回実走セッティングで時に下記を確認します。
立ち上がりでオーバーステアが発生し、まともに走ることができない。
車のパワーがありすぎるか、リヤタイヤのグリップが不足していると考えられます。
アップグレードの見直し、またはセッティング変更で解消します。
アップグレードで車のパワーを抑える方法
- エンジン関係のアップグレードを取り外し、ホイールスタイル(軽量ホイールの装着)や軽量化、シャーシ補強/ロールゲージのアップグレードを行います。
- エンジン関係のアップグレードにて排気系やインテークマニホールド(NA車のみ)、インテーク、ピストン/圧縮比、バルブ等、重量が軽くなるものを優先的に装着してパワーを抑えます。
- エンジン換装にて軽いエンジンを装着します。
アップグレードでリヤタイヤのグリップ不足の解消する方法
- リヤタイヤタイヤ幅を太くするか、フロントタイヤ幅を細くし前後のグリップバランスを見直します。
- フロントバンパーやウイングを変更しダウンフォースが調整できるようにします。
セッティング変更行ってオーバーステアを解消する場合
- ダウンフォースにてリアのダウンフォースの数値を大きくします。
- フロントスタビライザーの数値を大きくします。
- リヤスタビライザーの数値を小さくします。
- フロントデフの加速・減速の数値を大きくします。(AWDのみ)
- デフのセンターをフロント寄りにします。(AWDのみ)
※上記のセッティング変更は一つずつ変更を行い、走らせて様子を見ることをお勧めします。セッティング変更による挙動への影響を確認する為です。
※AWD車でフロントデフの加速・減速の数値を大きく、あるいはデフのセンターをフロント寄りするとアンダーステアが非常に強くなるため注意
立ち上がりでアンダーステアが発生し、まともに走ることができない。
アンダーステア強い場合はアップグレードの見直し、またはセッティング変更で解消します。
(AWD車である以上、アンダーステアと無縁になることは難しいので、上記の設定を行っても改善されない場合もあります。)
アップグレードを見直してアンダーステアを解消する場合
- フロントタイヤ幅を太くします。
- リヤタイヤ幅を細くします。
- 軽量化やシャーシ補強/ロールゲージを装着します。
- 冷却系やインタークーラー等重量が大きく増えるアップグレードを取り外します。
- ホイールスタイルにて軽いホイールを装着します。
セッティング変更行ってアンダーステアを解消する場合
- フロントスタビライザーの数値を小さくします。
- リヤスタビライザーの数値を大きくします。
- フロントデフの加速・減速の数値を小さくします。(AWDのみ)
- デフのセンターをリア寄りにします。(AWDのみ)
※上記のセッティング変更は一つずつ変更を行い、走らせて様子を見ることをお勧めします。セッティング変更による挙動への影響を確認する為です。
ストレートでライバルのゴーストよりも明らかに速度が伸びず、パワー不足を感じる。
車のパワーが不足している場合は下記を行って下さい。
- ホイールスタイル(重いホイールの装着)を行った後、エンジン関係のアップグレードを装着します。
- エンジン関係のアップグレードにてインタークーラー、オイル/冷却装置、ターボ/スーパーチャージャー、キャブレター(レース仕様)を優先的に装着します。
- NA車の場合、吸気方式にてターボを装着します。
- エンジン換装で重くパワーのあるエンジンへ換装します。
※インタークーラー、ターボ/スーパーチャージャーはターボ/スーパーチャージャー搭載車のみ選択可能です。キャブレター(レース仕様)は一部のNA車のみ選択可能です。
ジャンピングスポット着地時やギャップで車の跳ねが収まらない。
サスペンションが硬すぎる、ダンパーの減衰力が強すぎる、車高の下げすぎと考えられます。
- ダンパーのリバウンド減衰力を小さくします。
- ダンパーのバンプ減衰力を小さくします。
- フロント、リアのスプリングの数値を小さくします。
- 車高をオフロードサスペンション装着時の初期値よりも下げた場合、初期値の車高まで戻してみます。
※車の跳ねに対して一番影響が大きいのはダンパーです。
コーナーで大きな横Gがかかると車のリアの横滑りが始まり、コーナーで踏ん張りがきかない
前後のキャンバーが0°の場合-0.2°~-0.1°程度キャンバーをつけてみて下さい。
コーナーで踏ん張るようになります。
実走セッティング
それでは、2015 LAND ROVER RANGE ROVER SPORT SVRをダートAクラス向けにセッティングしてみます。
初回実走時
初回実走時のベストタイムは「01:58:592」でした。
初期設定ではコーナーリング時にリアが踏ん張らずに滑り出し、カウンターを当てながら走っている為、速度を乗せていけません。

スタビライザーの調整
現時点ではコーナーでカウンターを当てながら走っています。
アンダーステア傾向にハンドリング調整する為、スタビライザーを調整します。

オフロード仕様のサスペンションを装着している為、柔らかくロールし易いので、フロントのスタビライザーを固くしてアンダーステア傾向にハンドリングを調整します。
フロントスタビライザーの値を26.10→39.90へ変更します。

スタビライザー調整後のベストタイムは「01:58:342」でした。約0.2秒のタイム更新です。
高速域の姿勢は少し安定し、若干オーバーステアはましになったものの、コーナーリング時に大きな横Gがかかると滑り出す状況は変わりません。

スプリング、車高の調整
スプリングについてはそのままにしていることも多いですが、いじる場合、重量配分の重い方のスプリングを硬くします。
硬い方のスプリングの値を決めたら、柔らかい方のスプリングは下記の方法で算出します。
柔らかい方のスプリングの値=硬い方のスプリングの値×軽い方の重量配分値/重い方の重量配分値
(例1)フロント重量配分が42%の場合
リア重量配分が大きくなり、リアスプリングの値を硬くします。
軽い方の重量配分値は42、重い方の重量配分値は58となります。
フロントスプリングの値はリアのプリングの値を決めた後に下記で算出します。
フロントスプリングの値=リアスプリングの値×42/58
(例2)フロント重量配分が53%の場合
フロント重量配分が大きくなり、フロントスプリングの値を硬くします。
軽い方の重量配分値は47、重い方の重量配分値は53となります。
リアスプリングの値はフロントスプリングの値を決めた後に下記で算出します。
リアスプリングの値=フロントスプリングの値×47/53
今回のスプリングの初期値は、下記となっています。

仮にフロントスプリングは同じ硬さのまま、リアスプリングの値を算出すると、フロント重量配分が52%なので、下記で算出できます。
リアスプリングの値=61×48/52=56.30769≒56.3(小数点第二位を四捨五入)
リアスプリングの値の下限が56.4になりますので今回はこのままいきます。
車高については基本的にいじりません。
ダンパーの調整
リバウンド減衰力はそのままにしていることが多いです。
いじる場合、スプリングと同じように重量配分の重い方のリバウンド減衰力を大きくします。
大きい方のリバウンド減衰力は8~10程度に設定することが多いです。
大きい方のリバウンド減衰力を決めたら、小さい方のリバウンド減衰力は下記の方法で算出します。
小さい方のリバウンド減衰力=大きい方のリバウンド減衰力×軽い方の重量配分値/重い方の重量配分値
バンプ減衰力は下記で算出します。
バンプ減衰力=リバウンド減衰力/A
※Aの数値はオンロードの場合は「1.6」、ダートの場合は「2.5」、クロスカントリーの場合は「3.0」とします。
今回、リバウンド減衰力はとくにいじらず、バンプ減衰力を調整します。

フロント、リアのバンプ減衰力は下記で算出して設定します。
フロントバンプ減衰力=8.1/3.0=2.7
リアバンプ減衰力=7.4/3.0=2.46666≒2.5(小数点第二位を四捨五入)

ダンパー調整後のベストタイムは「01:56:775」でした。約1.6秒の短縮と大幅なタイム更新です!
コーナーでリアの滑り出しが改善され、アクセルを踏めるようになりました。
高速コーナーでも良く曲がるようになりました。
しかし、ライバルに対して加速・最高速で負け、パワー不足を感じるようになりました。

アップグレードの見直し
ライバルに対して加速・最高速で負けないようにする為、馬力が上がるようにアップグレードの見直しを行います
エンジン換装のアップグレードに入りエンジンを変更します。
現在装着の6.5L V12エンジンはこれ以上パワーを上げるとなるとターボを装着するしかありません。
ターボを装着すると大幅にパワーが上昇しPI(パフォーマンスインデックス)が800に収まりきらなくなります。
その為、7.7.L V12エンジンに換装します。

軽量化のアップグレードに入り、スポーツ仕様からストリート仕様に変更します。
これでPI(パフォーマンスインデックス)が789まで下がります。

この時点の車重は2338kg、横Gは0.95(97km/h時)となります。


エンジンのバルブのアップグレードに入り、レース仕様を装着します。馬力が50PS上がります。

ボンネットのアップグレードに入ります。
空気抵抗を改善し最高速の伸びを良くする為、ストリート仕様から標準に変更します。
これで0~161km/hの加速が約0.06秒短縮され、最高速も1.1km/h上がります。


この時点のPI(パフォーマンスインデックス)は799となります。

ホイールスタイルのアップグレードに入り、より軽量なホイールを装着します。
PI(パフォーマンスインデックス)を800に収めつつ15kgの軽量化ができました。


アップグレードの見直し前と後では0~97km/hの加速は変わりませんが、0~161km/hの加速が1秒近く変わり、アップグレードの見直し後の方が高速域での伸びが良いことが分かります。
最高速も約7km/h伸びました!


アップグレードの見直し後のベストタイムは「01:56:458」でした。約0.3秒のタイム更新です。
ハンドリングは若干悪くなりましたが加速・最高速が良くなりました。

ギヤ比の調整
各ギヤ比を見直してタイム短縮を狙います。初期値では上のギヤになるほどクロスになり、悪くないギヤ比です。

ギヤ比を色々調整してみましたが、かえって加速が鈍ったり、ギヤが合わずに乗りにくくなったり、タイムが短縮出来なかった為、ギヤ比は初期値のままでいきます。



現時点ではブレーキが利きすぎてコーナーリング時に思った以上に速度が落ちてしまいます。
ブレーキのアップグレードを落とすとさらにパワーを上げることができそうです。
アップグレードの再見直し
ブレーキのアップグレードを落としてさらにパワーを上げていきます。
ブレーキのアップグレードに入りレース仕様からスポーツ仕様に変更します。

レース仕様装着時に比べて制動距離は落ちますが、変更前は思った以上に減速してフィーリングが合わないので問題ありません。

エンジンのバルブのアップグレードに入り、レース仕様から標準に変更します。

エンジンの排気系のアップグレードに入り、レース仕様を装着します。

アップグレードの見直し後と再見直し後ではは0~97km/hの加速、0~161km/hの加速が改善され、最高速も2.5km/h伸びています。


アップグレードの再見直し調整後ですが、コーナーリング時に踏ん張らない為、うまく乗りこなせません。
キャンバーの調整
しばらく走りこんでみましたが解決策が見つからず、ダメもとでタイヤ温度を見てキャンバーのつけてみることにします。
テレメトリーでタイヤの温度を確認するとタイヤ外側と内側で温度差はあまりないことがわかります。

初期値はキャンバーが0°となっています。
キャンバーはタイヤの外側と内側の温度差を考慮してフロントを-0.2°、リアを-0.1°に設定します。


キャンバーの調整後のベストタイムは「01:54:590」でした。約1.9秒の短縮と大幅なタイム更新です!
コーナーリングで踏ん張るようになり、パワーを生かして車速をうまく乗せていけるようになりました。

今回のセッティングはここまでとさせていただきます。
まとめ・今回のセッティング情報
今回のクロスカントリーでのセッティングでは、色々迷うことも多かったですが、アップグレードやセッティングを見直す良いきっかけとなりました。
クロスカントリーでパワーが必要でライバルよりもパワーで負けている場合はタイム更新が難しいことが分かりました。
加えてキャンバーの重要性も実感しました。
今回のセッティングシートは下記になります。
共有コードは「213 509 584」になります。

ご参考いただければ幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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