今回はForza Horizon 5(FH5)にてRWD(後輪駆動)車のオンロードS1クラス向けのセッティング行う方法について、具体例を挙げてご紹介します。
RWD車のオンロードS1クラス向けアップグレードについてはこちらの記事をご確認ください。
セッティング対象車及びコースの紹介/今回の目標タイム
セッティング対象車は前回の記事でアップグレードを行った2020 CHEVROLET CORVETTE STINGRAY COUPEになります。
コースはHORIZONメキシコサーキットにて実走セッティングを行います。
HORIZONメキシコサーキットは90km/h前後の低速コーナーから200km/hオーバーの高速コーナーもある比較的バランスが取れたコースになります。
S1クラスになるとストレートエンドで260km/h~270km/h程度まで速度が出ます。


今回は以前ツイートした、2020 CHEVROLET CORVETTE STINGRAY COUPEのS1クラス向けセッティングのタイム「00:59:254」を超えることを目標にセッティングを進めていきます。
初回実走セッティング時に確認すべきこと
初回実走セッティング時に下記を確認します。
立ち上がりでオーバーステアが発生し、まともに走ることができない。
車のパワーがありすぎるか、リヤタイヤのグリップが不足していると考えられますので、アップグレードを見直します。
車のパワーを抑える方法は次の通りです。
- エンジン関係のアップグレードを取り外し、ホイールスタイル(軽量ホイールの装着)や軽量化、シャーシ補強/ロールゲージのアップグレードを行います。
- エンジン関係のアップグレードにて排気系やインテークマニホールド(NA車のみ)、インテーク、ピストン/圧縮比、バルブ等、重量が軽くなるものを優先的に装着してパワーを抑えます。
- エンジン換装にて軽いエンジンを装着します。
リヤタイヤのグリップ不足の解消方法は下記を試して下さい。
- リヤタイヤタイヤ幅を太くするか、フロントタイヤ幅を細くし前後のグリップバランスを見直します。
- フロントバンパーやウイングを変更しダウンフォースが調整できるようにします。
アップグレードの見直しで症状が改善できない場合はセッティングを見直す必要があります。
- ダウンフォースにてリアのダウンフォースの数値を大きくします。
- フロントスタビライザーの数値を大きくします。
- リヤスタビライザーの数値を小さくします。
※上記のセッティング変更は一つずつ変更を行い、走らせて様子を見ることをお勧めします。セッティング変更による挙動への影響を確認する為です。
ストレートでライバルのゴーストより明らかに速度が伸びず、パワー不足を感じる。
車のパワーが不足している場合は下記を行って下さい。
- ホイールスタイル(重いホイールの装着)を行った後、エンジン関係のアップグレードを装着します。
- エンジン関係のアップグレードにてインタークーラー、オイル/冷却装置、ターボ/スーパーチャージャー、キャブレター(レース仕様)を優先的に装着します。※1
- NA車の場合、吸気方式にてターボを装着します。
- エンジン換装で重くパワーのあるエンジンへ換装する。
※1 インタークーラー、ターボ/スーパーチャージャーはターボ/スーパーチャージャー搭載車のみ選択可能です。キャブレター(レース仕様)は一部のNA車のみ選択可能です。
実走セッティング
それでは、2020 CHEVROLET CORVETTE STINGRAY COUPEをオンロードS1クラス向けにセッティングしてみます。
初回実走時
初回実走時のベストタイムは「01:00:618」でした。
コーナー立ち上がりでオーバーステアが出ることもなく安定していますが、ギヤの繋がりが悪く加速にもたつきを感じました。

ギヤ比の調整
ギヤの繋がりが悪く加速にもたつきを感じた為、ギヤ比の見直しを行います。
セッティング画面でギヤ比を見ると各ギヤが離れており、8速ミッションを活かせていないことがわかります。

各ギヤをクロスさせ、下図のように調整しました。

※出速時のホイールスピンを抑える場合は1速と2速のギヤ比を離すと効果的かもしれません。
ギヤ比調整後のベストタイムは「00:59:636」でした。約1秒のタイム更新です。

更にギヤ比をいじってみます。
【今回の変更点】
- 2速「2.90→2.83」
- 3速「2.26→2.24」
- 7速「1.13→1.15」
- 8速「0.98→1.02」
1速と2速のギヤ比を離し、2速、3速、4速のギヤ比をクロスに、6速と7速と8速のギヤ比をクロスにしてみます。

ギヤ比再調整後のベストタイムは「00:59:900」でした。
タイムが悪くなったのでこの場合、ギヤ比の前の設定(「00:59:636」のタイム時の設定)に戻します。

ギヤ比は一旦このままにして次のセッティングを行います。
スタビライザーの調整
現時点で車はかなり安定感があり、もう少しオーバーステア傾向にしてフロントの入りを良くできそうなので、スタビライザーをいじってみます。
変更前はフロントスタビライザーが結構固めなので柔らかくしてみます。


スタビライザー調整後のベストタイムは「00:59:319」でした。約0.3秒のタイム更新です。

スプリング、車高の調整
スプリングについてはそのままにしていることも多いですが、いじる場合、重量配分の重い方のスプリングを硬くします。
硬い方のスプリングの値を決めたら、柔らかい方のスプリングは次の方法で算出します。
柔らかい方のスプリングの値=硬い方のスプリングの値×軽い方の重量配分値/重い方の重量配分値
(例1)フロント重量配分が42%の場合
リア重量配分が大きくなり、リアスプリングの値を硬くします。
軽い方の重量配分値は42、重い方の重量配分値は58となります。
フロントスプリングの値はリアのプリングの値を決めた後に下記で算出します。
フロントスプリングの値=リアスプリングの値×42/58
(例2)フロント重量配分が53%の場合
フロント重量配分が大きくなり、フロントスプリングの値を硬くします。
軽い方の重量配分値は47、重い方の重量配分値は53となります。
リアスプリングの値はフロントスプリングの値を決めた後に下記で算出します。
リアスプリングの値=フロントスプリングの値×47/53
今回、オフロード仕様のサスペンションを搭載している為、これ以上スプリングを硬めたり、車高を低くすることはできません。
また、リア重量配分が大きくリヤのスプリングの値が大きくなっているので特にいじっていません。

車高については基本的にいじりません。
ダンパーの調整
リバウンド減衰力はそのままにしていることが多いです。
いじる場合、スプリングと同じように重量配分の重い方のリバウンド減衰力を大きくします。
大きい方のリバウンド減衰力は12~15程度に設定することが多いです。
大きい方のリバウンド減衰力を決めたら、小さい方のリバウンド減衰力は下記の方法で算出します。
小さい方のリバウンド減衰力=大きい方のリバウンド減衰力×軽い方の重量配分値/重い方の重量配分値
バンプ減衰力は下記で算出します。
バンプ減衰力=リバウンド減衰力/A
※Aの数値はオンロードの場合は「1.6」、ダートの場合は「2.5」、クロスカントリーの場合は「3.0」とします。
今回、リバウンド減衰力はとくにいじらず、バンプ減衰力を調整します。

フロント、リアのバンプ減衰力は下記で算出して設定します。
フロントバンプ減衰力=9.2/1.6=5.75≒5.8(小数点第二位を四捨五入)
リアバンプ減衰力=14.5/1.6=9.0625≒9.1(小数点第二位を四捨五入)

ダンパー調整後のベストタイムは「00:59:569」でした。
ハンドリングは若干シャープになりましたが、イマイチ乗りきれません。
その為、元の設定に戻します。
ダウンフォースの調整
現時点では最終の高速コーナーで上手く速度を乗せて曲がれませんのでダウンフォースを強めてみます。
ダウンフォースはリアの数値が大きくなっている為、フロントのダウンフォースを相対的に強めて高速コーナーをより速い速度で曲がれるようにします。

ダウンフォースの数値は下記で算出しました。
変更後フロントダウンフォース値=変更前フロントダウンフォース値×1.1(四捨五入)
変更後リアダウンフォース値=変更前リアダウンフォース値×1.05(四捨五入)

ダウンフォース調整後のベストタイムは「00:59:237」でした。
約0.1秒のタイム更新で、目標タイム「00:59:254」を更新することができました!
しかし、タイム更新後の第一コーナーでリヤのグリップが抜けオーバーステアとなりコースアウトしてしまいました。

キャンバーの調整
ハンドリングは良くなったものの、速さが維持できなければ意味がありません。
そこでタイヤ温度に着目してみます。
下記最終コーナーを通過し、第一コーナー侵入前のタイヤ温度です。

フロントタイヤについては発熱が偏っていませんが、リヤタイヤはインナーがアウターよりも6~7℃温度が高くなっており、発熱が偏っています。
これがリヤタイヤのグリップ抜けの原因ではないかと考えられます。
リヤタイヤの発熱の偏りはリヤキャンバーの調整で改善できます。
今回はインナーの温度が高いのでキャンバーの数値を小さくします。

リヤキャンバーの数値を「-0.5 → -0.4」と変更します。

キャンバー調整後のベストタイムは「00:58:987」でした。
更に約0.3秒のタイム更新です。
第一コーナーでのリアのグリップ抜けも改善されました。

キャンバー調整後のタイヤの発熱状態は下図となります。

スクリーンショットの撮影場所が若干異なりますが、リヤタイヤのインナーとアウターの温度差が3~5℃温度程度になっており、リヤタイヤの発熱の偏りが改善していることが分かります。
RACING V12のエンジンを換装した場合はどうなる?

ギヤ比以外のセッティングはそのままでRACING V12のエンジンを換装した場合はどうなるか検証してみました。
エンジン換装すると、PI(パフォーマンスインデックス)が 900を超えてしまうので軽量化取り外し、ロールゲージを装着します。
更にフロントタイヤ幅を「315→305」と細くします。
これでPI(パフォーマンスインデックス)が899まで下がります。



PI(パフォーマンスインデックス)が900になるように調整する為、ホイールスタイルでより軽いホイールに変更し、駆動系のアップグレードを装着します。


このままではギヤ比が合わないので下図のようにギヤ比を設定しています。

RACING V12のエンジン搭載した時のタイムは「00:58:869」となり、5.2L V10のエンジンの時よりも約0.1秒速い結果になりました。

まとめ・今回のセッティング情報(5.2 L V10、RACING V12)
今回は当初のアップグレードの記事で使用していた5.2 L V10よりもRACING V12の方が速い結果となりました。
5.2 L V10の方がブレーキが良く効き、グリップ感も良いです。
RACING V12の方がタイムは速いですが、ブレーキポイントが手前になり、ほんの少しアンダーステアが強いです。
今回のセッティングシートは下記になります。


ご参考いただければ幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました!
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